[カテゴリー:『問答の言語哲学』をめぐって]
(今回も?、『問答の言語哲学』を読んでいない方には、わからない書き方になっています。詳しく説明している時間がないのでご容赦ください。合評会までに拙著の最後までを振り返っておきたいので。)
第2章の2.1で、文と命題の関係を「文は、文脈を入力すると命題を出力する関数である」と説明しました。
関数としての文:文脈→命題
他方で、2.2では相関質問との関係によって発話の焦点が決まることを説明しました。
相関質問:文→焦点つき命題
(焦点つき命題=相関質問+文未満返答)
この二つの関数はどう関係するのでしょうか。これが、今回読み直していて、曖昧だったと反省他点です。この二つの関数を組み合わせると次の関数になるでしょう。
文(関数):文脈<相関質問、話し手、世界、時間>→焦点つき命題
ここで「焦点つき命題」という概念を導入しています。文の意味を「命題」と呼び、発話の意味を「焦点つき命題」と呼ぶことが、適切であるかもしれません。「命題」を理解するとは、上流問答推論と下流問答推論について正しいものと正しくないものを判別する能力を持つことであり、「焦点つき命題」を理解することは、<この能力に加えて、発話が現実にどのような上流問答推論と下流問答推論をもっているかを理解することである>と言えます。
2.2では、「焦点」は「命題の与えられ方」を示していると述べました。「焦点つき命題」とは、「ある与えられ方のもとで理解された命題」です。
2.2の最後に、相関質問は、より上位の問いに答えるために設定されるのであり、二重問答関係
<Q2→Q1→A1→A2>において、Q1→A1は、A1の上流問答推論を構成し、Q2→A1→A2が、A1の下流問答推論を構成することを説明しました。
2.3では、「会話の含み」をこの下流問答推論によって説明しました。